「鎖骨の下押すと痛い」のはなぜ?気になる原因と、受診の目安を徹底解説!
ふとした時に、鎖骨のすぐ下あたりを押してみると「あれ?なんか痛いな…」と感じたことはありませんか?特に、肩を動かしたり、重いものを持ったりした後に痛むと、「どこか悪いんだろうか?」と不安になりますよね。
実は、鎖骨の下を押すと痛いという症状には、様々な原因が考えられます。筋肉の凝りや姿勢の問題といった比較的軽いものから、時には専門医の診察が必要な病気が隠れているケースまで、多岐にわたります。
今回は、この鎖骨の下の痛みについて、考えられる主な原因や、受診を検討すべきタイミング、そして何科を受診すれば良いのかを、分かりやすく解説していきます。
鎖骨の下に「痛み」を感じる主な原因
鎖骨の周辺には、肩や腕を動かすためのたくさんの筋肉、神経、そしてリンパ節などが集まっています。そのため、この部分の痛みは、様々な要因から引き起こされる可能性があります。
1.筋肉や関節の問題(最も多い原因の一つ!)
日常生活で最もよく見られる原因です。
筋肉痛・筋肉の凝り:
原因: 肩や腕の使いすぎ(スポーツ、重いものの持ち運び、長時間のデスクワークなど)、悪い姿勢(猫背、巻き肩など)、ストレスによる肩や首の緊張などが原因で、鎖骨の下にある大胸筋やその周辺の筋肉が凝り固まり、痛みを感じることがあります。
症状: 押すと痛む、腕を動かすと痛みが強くなる、慢性的なだるさや重さを感じる、肩こりを伴うことが多いです。
肩関節周囲炎(五十肩):
原因: 肩関節周辺の炎症ですが、痛みが鎖骨の下あたりに放散してくることがあります。
症状: 肩を特定方向に動かすと痛みが強くなる、腕が上がりにくいなどの症状を伴います。
打撲や捻挫:
原因: 鎖骨周辺をぶつけたり、無理な体勢で捻ったりした際に、筋肉や関節、骨にダメージが生じ、痛みが出ることがあります。
症状: 痛みに加えて、腫れや内出血を伴うことがあります。
2.神経の圧迫(胸郭出口症候群など)
鎖骨と肋骨の間など、特定の場所で神経や血管が圧迫されることによって起こる痛みです。
胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん):
原因: 首から腕へ伸びる神経や血管が、鎖骨と第一肋骨の間、首の筋肉(斜角筋)の間などで圧迫されたり、引っ張られたりすることで発症します。なで肩の人や、腕を上げたまま行う作業が多い人に起こりやすいとされます。
症状: 鎖骨の下の痛みに加え、手のしびれ、腕のだるさ、力が入りにくい(握力の低下)といった症状を伴うことが多いです。腕を上げていると症状が強まる特徴があります。
変形性頚椎症(へんけいせいけいついしょう):
原因: 首の骨(頸椎)の加齢に伴う変形などにより神経が圧迫され、肩や腕、鎖骨周辺に痛みやしびれが出ることがあります。
症状: 首を動かすと痛みが強まる、肩こりがひどい、手のしびれなどを伴うことがあります。
3.リンパ節の腫れ
鎖骨の下にはリンパ節が点在しており、炎症や感染症などで腫れると痛みを伴うことがあります。
リンパ節炎:
原因: 風邪やウイルス感染、細菌感染などによりリンパ節が炎症を起こし、腫れて痛むことがあります。
症状: 押すとグリグリとしたしこりのようなものが触れ、痛みを感じます。発熱や倦怠感を伴うこともあります。
4.その他、内臓疾患の関連痛(要注意!)
稀ではありますが、心臓や肺、消化器系の病気が原因で、鎖骨の下に痛みが放散することがあります。特に以下のような症状を伴う場合は、緊急性が高いため注意が必要です。
狭心症・心筋梗塞:
症状: 胸全体が締め付けられるような痛みに加え、左肩や左鎖骨の下あたりに痛みが放散することがあります。冷や汗、息切れ、吐き気などを伴う場合は、すぐに救急車を呼ぶなど、医療機関を受診してください。
気胸(ききょう):
原因: 肺に穴が開き、空気が漏れて肺がしぼんでしまう病気です。
症状: 突然の息苦しさ、呼吸困難、咳、胸の痛みなどを伴うことがあります。
逆流性食道炎や胃潰瘍:
症状: 胸焼け、みぞおちの痛み、咳などを伴う胸部の痛みが、鎖骨の下あたりに感じられることがあります。
「鎖骨の下の痛み」何科を受診する?受診の目安は?
鎖骨の下を押すと痛いと感じた場合、まずはご自身の症状や痛みの性質をよく観察してみましょう。
まずは「整形外科」の受診を検討
多くの場合、筋肉や骨、神経が原因であるため、まずは整形外科の受診を検討しましょう。
こんな症状なら整形外科へ:
押すと痛い、動かすと痛いなど、特定の動作で痛みが増す場合。
しびれやだるさを伴うが、徐々に症状が出ている場合。
転倒やぶつけたなど、明らかな怪我のきっかけがある場合。
痛みが数日〜数週間続き、改善しない場合。
こんな症状なら他の科も検討、あるいは救急車を!
以下のような症状を伴う場合は、緊急性が高い病気が隠れている可能性もあるため、内科や循環器内科、あるいは早急な医療機関の受診(救急車を呼ぶことも含む)を検討してください。
胸全体が締め付けられるような痛み、冷や汗、息切れ、吐き気などを伴う場合 → 循環器内科(心臓の病気の可能性)
突然の息苦しさ、呼吸困難、咳を伴う場合 → 呼吸器内科(肺の病気の可能性)
発熱、倦怠感を伴う、しこりが触れる場合 → 内科(リンパ節炎や感染症の可能性)
まとめ:「鎖骨の下の痛み」は体のサイン!無理せず受診を
「鎖骨の下を押すと痛い」という症状は、日常的な筋肉の凝りから、稀に緊急性の高い病気まで、様々な原因が考えられます。自己判断せず、症状が続く場合や、心配な症状を伴う場合は、迷わず医療機関を受診することが大切です。
日頃から良い姿勢を心がけたり、適度な運動やストレッチを行ったりすることも、筋肉の凝りを予防し、痛みを軽減することに繋がります。ご自身の体のサインに耳を傾け、健康で快適な毎日を送りましょう。