舌根沈下はなぜ起こる?原因と誰でもできる簡単な予防策を徹底解説!
「舌根沈下」という言葉を聞いたことがありますか?
これは、気道を塞いでしまう危険な状態です。
「自分には関係ない」と思っている方もいるかもしれませんが、実は身近な場面で起こる可能性があり、その原因を知っておくことがとても大切です。この記事では、舌根沈下がなぜ起こるのか、そして誰でもできる簡単な予防策について、わかりやすく解説します。
1. 舌根沈下とは?
舌根沈下とは、文字通り「舌の根元」が喉の奥に落ち込んでしまう現象のことです。
通常、私たちは舌の筋肉を使って、舌を正しい位置に保っています。しかし、何らかの理由で舌の筋肉が緩むと、重力によって舌の根元(舌根)が喉の奥へと下がってしまいます。これにより、空気の通り道である気道が塞がれてしまい、呼吸ができなくなる危険な状態に陥ります。
2. 舌根沈下の主な原因
舌根沈下は、主に舌の筋肉が緩むことによって引き起こされます。具体的な原因は以下の通りです。
(1) 意識レベルの低下
酩酊(泥酔)状態:
アルコールを過剰に摂取すると、中枢神経が抑制され、全身の筋肉が緩みます。舌の筋肉も例外ではなく、舌根沈下が起こりやすくなります。
麻酔薬の使用:
手術などで麻酔薬を使用すると、意識がなくなるだけでなく、舌の筋肉が緩みます。そのため、手術中は医師や看護師が常に気道を確保する処置を行います。
病気や怪我:
脳卒中(脳梗塞、脳出血)や頭部の怪我などで意識を失った場合も、舌の筋肉が弛緩し、舌根沈下の原因となります。
寝たきりの状態:
長時間同じ体勢で寝たきりになっていると、筋力が低下し、舌の筋肉も緩みやすくなります。特に高齢者に多く見られる原因の一つです。
(2) 顎の構造
小顎症:
生まれつき下顎が小さい方は、舌を支えるスペースが狭いため、舌根沈下が起こりやすい傾向があります。
3. 舌根沈下を予防・対処する方法
舌根沈下を防ぐためには、意識レベルが低下した際に適切な体勢をとることが重要です。
(1) 仰向けで寝かせない
意識を失っている人や泥酔している人を仰向けで寝かせるのは絶対に避けてください。仰向けでは、舌根が重力で喉に落ち込みやすくなります。
(2) 側臥位(そくがい)にする
舌根沈下の最も効果的な予防策は、側臥位(横向き)にすることです。
体を横向きにすることで、舌根が重力で口の横に流れ、気道が塞がるのを防ぐことができます。
特に泥酔している人を寝かせる際は、必ず横向きに寝かせ、顔を少し上向きにするとさらに安全です。
(3) 顎を上げる
緊急時に舌根沈下が見られる場合は、顎を少し持ち上げて頭を後ろに傾け、気道を確保します。これは「頭部後屈あご先挙上法」と呼ばれ、応急処置として有効です。ただし、首に怪我をしている可能性がある場合は、無理に行わないでください。
まとめ
舌根沈下は、意識レベルの低下によって舌の筋肉が緩み、気道が塞がれることで起こります。特に泥酔時や高齢者、麻酔後の患者さんで注意が必要です。
もし、身近な人が舌根沈下かもしれないと思ったときは、決して仰向けで寝かせず、横向きの体勢にしてあげることを覚えておきましょう。いざという時のために、この知識を頭の片隅に入れておいてください。