「遊びの力」で心を守る!災害時に役立つ子どものための安心遊びガイド
大きな災害が発生したとき、大人も子どもも強いストレスや不安に晒されます。特に子どもたちにとって、遊びは単なる暇つぶしではなく、**心の回復(メンタルケア)に欠かせない「日常」であり、「自己治癒」**の手段です。
避難所や自宅での避難生活で、遊び場や遊具がなくても、身近なものや道具を使わないシンプルな遊びで、子どもたちは必ず元気を取り戻すことができます。
この記事では、災害時という特殊な状況下で、子どもの心の安定を最優先にするための遊びのアイデアと、親や周囲の大人が意識すべき接し方のコツを詳しくご紹介します。
1. 災害時の「遊び」が持つ大切な役割
災害時、子どもは不安や恐怖を言葉で表現するのが難しいことがあります。そんな時、遊びは重要な役割を果たします。
(1) ストレスの軽減と心の安定
不安の表現と解消: 遊びを通じて、子どもたちは災害の恐怖や不安を表現し、気持ちの整理をすることができます。
日常性の回復: 遊びは子どもにとって**「日常」**そのもの。日常的な活動を再開することで、安心感を取り戻し、精神的な安定につながります。
エネルギーの発散: 狭い避難所や制限された環境でたまった身体的なエネルギーやイライラを発散し、ストレスを軽減します。
(2) 「ごっこ遊び」は心の自己治癒
被災後、子どもたちが**「地震ごっこ」や「津波ごっこ」といった災害に関する遊びを繰り返すことがあります。これは、トラウマ(心の傷)を乗り越えようとする自己治療的な行動です。大人が無理にやめさせるのではなく、「怖かったね」と気持ちに寄り添いながら見守る**ことが大切です。危険を伴う場合は、落ち着いて止め、別の遊びに誘導しましょう。
2. 道具いらず!すぐにできる「心の安定」遊びアイデア
場所が限られ、特別な道具がない避難所や車中泊でも、すぐにできる遊びを年齢別に紹介します。
【道具不要!体と声を使う遊び】
指・手遊び(全年齢)
「いっぽんばしこちょこちょ」「おもちゃのチャチャチャ」など、昔ながらの歌遊びや手遊びは、大人とのスキンシップを通じて安心感を与えます。
絵描き歌・伝言ゲーム(幼児~小学生)
ルールがシンプルで、静かに楽しめるのがメリット。伝言ゲームは、周りの迷惑になりにくいよう、ささやき声で行うなどの工夫をしましょう。
連想ゲーム・しりとり(小学生~)
集中力と思考力を使う遊びは、子どもが現実の世界に意識を戻すのに役立ちます。「食べ物」や「動物」など、テーマを決めるとより楽しめます。
「私を探せ!(かくれんぼの応用)」(幼児~小学生)
避難所の隅や、毛布の後ろなど、小さなスペースで身を隠し、大人に探してもらう遊び。不安な環境下で、大人の愛情を感じることで安心感を得られます。
【新聞紙・ゴミ袋で遊ぶ工作&遊び】
新聞紙ボール(全年齢)
新聞紙を丸めてガムテープで留めるだけで、安全なボールが完成。狭い場所でも、床を這わせて転がしたり、手で優しくパスしたりして楽しめます。
新聞紙スリッパ&クッション(小学生~)
防災グッズとして役立つアイテムを、親子で一緒に工作する遊び。完成すれば、達成感と安心感にもつながります。
ビニール袋ポンチョ(幼児~小学生)
大きなゴミ袋に頭と腕を通す穴を開けるだけで、ポンチョ(レインコート)が完成。色付きの袋を使えば、おままごとや変身ごっこの衣装にも使え、気分転換になります。
3. 親が知っておきたい「心のケア」のための接し方
遊びを提供するだけでなく、子どもへの接し方そのものが心のケアとなります。
心がけたいこと | 具体的な行動 |
安心感の確保 | いつもより多めにスキンシップを取り、**「大丈夫だよ」「そばにいるよ」**といった肯定的な言葉かけを繰り返す。 |
「日常」の再現 | 食事や睡眠の時間をできるだけ普段通りにし、生活リズムを整える。遊びの時間もルーティンに含めましょう。 |
話を傾聴する | 子どもが話したいときに、口を挟まず、否定せずに聞く。「怖かったんだね」と感情に共感する言葉を返してあげましょう。 |
変化を受け入れる | 「赤ちゃん返り」や癇癪(かんしゃく)、乱暴な言動などは、強いストレスの表れ。**「しっかりしなさい」**と叱らず、甘えたい気持ちを一旦受け止めてあげましょう。 |
親自身のケア | 子どもに寄り添う大人が疲れていると、子どもにも不安が伝わります。無理せず、休憩時間を確保し、親自身も心の安定を保つことが大切です。 |
災害時の遊びは、子どもの心と体を守る最高の薬です。限られた状況の中でも、大人の工夫とあたたかい見守りがあれば、遊びの力で必ず乗り越えることができます。