安否確認は声が安心!高齢者も迷わず使える「災害伝言サービス」の徹底ガイド
大規模な災害が発生すると、電話回線がパンクし、「家族と連絡が取れない!」という状況に陥りがちです。特に、スマートフォンやSNSの操作に不慣れな高齢者や、離れて暮らす親御さんの安否確認は、大きな不安の種となります。
そこで頼りになるのが、国や通信会社が提供する「災害伝言サービス」です。中でも、固定電話や公衆電話からも使える音声による安否確認サービスは、高齢者にとって最も利用しやすく、安心感を与えてくれる手段です。
この記事では、高齢者向けの災害伝言サービスの具体的な使い方と、事前に家族間で決めておくべき準備のポイントを、分かりやすく解説します。「いざという時、どうすればいいの?」という疑問を解消し、大切な家族を守るための備えを今日から始めましょう。
1. 高齢者におすすめ!災害用伝言ダイヤル「171(イナイ)」の使い方
「171(いない)」は、通信が混雑している時に、被災地の方が自分の声で安否情報を音声で登録し、離れた家族がそれを再生して確認できる「声の伝言板」サービスです。固定電話や公衆電話からも利用できるため、スマートフォンが使えなくても安心です。
1-1. 伝言を「録音(登録)」する手順(被災地の方)
被災地にいる方が、自分の安否を家族に伝えるための操作です。
操作 | ダイヤル番号 | ガイダンス内容とポイント |
Step 1 | 171にダイヤル | 「災害用伝言ダイヤルです。録音は1、再生は2をダイヤルしてください」と流れます。 |
Step 2 | 1 | 「録音します。電話番号を市外局番からダイヤルしてください」と流れます。 |
Step 3 | 自身の電話番号 | 自分の固定電話または携帯電話の番号を入力します。これが**伝言を聞くための「鍵」**になります。 |
Step 4 | ガイダンスに従い | 「伝言をどうぞ。30秒以内でお話しください」と流れた後、メッセージを録音します。 |
【録音のコツ】短く簡潔に!30秒以内の例文
高齢者の方が緊張せずに伝えられるよう、事前に話す内容を決めておきましょう。
名前を言う: 「〇〇(自分の名前)です」
安否を伝える: 「無事です」「怪我はありません」
現在の場所: 「自宅にいます」「中央公民館に避難しました」
今後の予定: 「状況が変わったらまた伝言を残します」
1-2. 伝言を「再生(確認)」する手順(安否確認者)
被災地にいる家族や親戚の安否を確認するための操作です。
操作 | ダイヤル番号 | ガイダンス内容とポイント |
Step 1 | 171にダイヤル | 「災害用伝言ダイヤルです。録音は1、再生は2をダイヤルしてください」と流れます。 |
Step 2 | 2 | 「再生します。電話番号を市外局番からダイヤルしてください」と流れます。 |
Step 3 | 相手の電話番号 | 安否を聞きたい相手(被災地にいる家族)の電話番号を入力します。 |
Step 4 | ガイダンスに従い | 録音されたメッセージが再生されます。「8」を押すと繰り返し聞くことができます。 |
2. インターネットが使える方向けの「災害用伝言板(web171)」
パソコンやスマートフォン(スマホ)を使って文字で安否を確認できるサービスもあります。操作に慣れているご家族が、文字で安否を伝えたり、171に録音された音声を文字で確認したい場合に便利です。
サービス名: 災害用伝言板(web171)
特徴:
電話番号をキーに、名前やメッセージを**テキスト(文字)**で登録・確認できます。
171(音声)と連携しているため、音声で登録された伝言を文字で確認したり、逆に文字で登録した伝言を音声で聞くことも可能です。
家族が離れた場所からでも、インターネット環境があれば利用できます。
特に高齢者ご本人がスマホ操作に不安がある場合は、「171(音声)」にメッセージを残し、離れて暮らす息子さん・娘さんが「web171」でその内容を文字で確認する、といった使い分けが非常に有効です。
3. 高齢者の安否確認を確実にする「3つの事前準備」
災害時にこれらのサービスをスムーズに使うためには、事前の準備が欠かせません。
3-1. 家族間で「鍵となる番号」を決めておく
171やweb171の利用には、必ず「伝言を登録・確認するための電話番号」が必要です。
対策: 家族や親戚間で、「この番号に伝言を残す」という固定電話番号をあらかじめ決めておきましょう。多くの場合、被災地にある実家の固定電話番号を共通の「鍵」とするのが一般的です。
3-2. 毎月の「体験利用」で慣れておく
これらの災害伝言サービスは、実際に大規模な災害が発生した時に提供が開始されますが、毎月1日と15日、そして防災週間(8月30日~9月5日)には体験利用ができます。
対策: 高齢者ご本人と一緒に、年に数回は実際に「171」に電話をかけ、録音と再生の操作を練習しておきましょう。ガイダンスの声に慣れておくことが、本番での動揺を防ぎます。
3-3. 連絡手段を複数確保し、メモに残す
高齢者は、災害直後の混乱で覚えたての操作手順を忘れてしまうことがあります。
対策: 「171」の使い方と、「鍵となる電話番号」、「家族の連絡先」を、大きく分かりやすい文字で書いた紙(防災メモ)を、普段使う電話のそばや財布の中に必ず入れておきましょう。
災害時の安否確認は、慣れと事前準備がすべてです。テクノロジーを賢く利用しつつ、人の声で安心を届けられる「171」を、ぜひ家族みんなの共通の備えとして活用してください。