下歯槽神経とは?役割・しびれの原因・治療アプローチをわかりやすく解説
口のしびれや下あごの違和感を感じたとき、多くの人が不安を覚えるのが「神経のトラブル」です。その中でもとくに重要なのが 下歯槽神経。歯科治療でも耳にすることがありますが、専門的な名称のため、実際にどんな働きをしているのかイメージしにくい人も少なくありません。
この記事では、下歯槽神経の役割、しびれや痛みの原因、トラブル時の対処法をやさしくまとめ、安心して治療に向き合えるための知識を丁寧に解説します。
下歯槽神経とは何か
下歯槽神経は、下あごの骨の中を通る大切な神経で、下の歯・下唇・あごの感覚を司る神経です。食べる・話す・噛むといった日常の動作に深く関わっており、感覚が鈍くなると生活に支障をきたすこともあります。
この神経は、頭部の主要な神経の一つである「三叉神経」から枝分かれしており、下あごの骨の中を細いトンネルのように通りながら、歯や皮膚へと広がっています。
下歯槽神経がトラブルを起こしやすい理由
下歯槽神経は “骨の中を通る” という特徴があり、以下のような刺激や治療の影響を受けやすい神経でもあります。
● 親知らずの抜歯
下の親知らずが神経に近い位置にあると、抜歯時に刺激が加わり、しびれや感覚の変化が起こることがあります。
● インプラント治療
インプラントを埋め込む位置が神経に近すぎると、圧迫によるしびれが生じるリスクがあります。
● 顎の骨折
事故やスポーツによる衝撃で、神経の通り道にダメージが出るケースがあります。
● 歯科麻酔
下顎の治療で使用する局所麻酔が周囲の神経に一時的に影響を与えることがあります。
● 顎関節周辺の炎症
噛み合わせの異常や筋肉の緊張により、神経周辺が圧迫される場合があります。
下歯槽神経障害にみられる主な症状
● 下唇・あごのしびれ
ビリビリ、ジワジワした感覚が続くケース。
● 触った感覚が弱くなる
皮膚を触っても鈍く感じたり、冷たい・熱いの感覚がわかりづらくなる場合。
● 下の歯の違和感
歯そのものは問題がなくても「しびれ感」「ぼんやりした感触」が続くことがあります。
● 片側だけの感覚異常
多くの場合、障害は片側(右か左のどちらか)に起こります。
下歯槽神経のトラブルは治るのか?
多くのケースでは 数週間〜数か月で自然に回復 することが多いとされています。神経が完全に断裂していない限り、時間とともに感覚が戻るケースが一般的です。
回復の程度は以下の要因で変わります。
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ダメージの大きさ
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圧迫されていた期間
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年齢
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生活習慣(喫煙・血流の状態)
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元の神経の位置や骨の構造
早めに歯科や口腔外科で状態を確認するほど、回復の可能性が高まります。
回復を促す治療アプローチ
● 神経の炎症を抑える薬
ビタミン剤や神経の修復を助ける飲み薬が用いられます。
● 血流改善のための処置
血流を良くする薬や温熱療法が効果的なケースもあります。
● 神経再生を促すケア
下あご周辺を冷やしすぎず、長時間のうつ伏せや食いしばりを避けるなど、日常生活でできる対策もあります。
● しびれの原因となる圧迫の除去
インプラントの位置調整や親知らずの抜歯後のケアなど、原因そのものを改善する治療が必要になる場合もあります。
日常生活で気をつけたいポイント
● 長時間の歯ぎしり・食いしばりを避ける
顎の緊張が神経を圧迫しやすくなります。
● 下あごをぶつけないよう注意
スポーツ時のマウスガードなどで予防できます。
● 血流を良くする生活
適度な運動・首肩周りのストレッチが回復をサポートします。
受診の目安
以下のような場合は早めの受診をおすすめします。
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しびれが24時間以上続く
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下唇やあごの感覚が急に鈍くなる
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歯科治療後に違和感が長引く
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片側だけしびれが強い
早期に状態を確認するほど、回復の見込みが高まります。
下歯槽神経は「毎日の安心」を支える大切な神経
下歯槽神経のトラブルは不安を感じることが多いものですが、正しい知識があれば落ち着いて対処できるようになります。多くのケースでは時間とともに回復することが期待され、適切なケアや治療を続けることで改善に向かいます。
不安を感じたときは、無理に我慢せず専門の医療機関へ相談することが大切です。自分の感覚を大切にしながら、安心できる生活を守っていきましょう。