不同沈下とは?家が傾く前に知っておきたい基礎知識と対策まとめ
家を建てたのに「床がなんとなく傾いている」「ドアが閉まりにくい」「壁にヒビが入ってきた」と感じたことはありませんか? その原因の多くが**不同沈下(ふどうちんか)**です。 地盤沈下が均等に起こらず、一部だけが沈むことで建物が傾いてしまう現象で、放っておくと修繕費が数百万円~数千万円に膨れ上がることも珍しくありません。
この記事では、不同沈下の原因から症状、予防法、発生後の対処法まで、2025年現在でも通用する「永遠の基本」をわかりやすく解説します。家を建てる人・中古住宅を購入する人・すでに傾きを感じている人、すべての方に読んでいただきたい内容です。
不同沈下とは一体何が起こっているのか?
簡単に言うと、 **「建物の下の地盤が均等に沈まず、一部だけが沈むこと」**です。
地盤は生き物と同じで、場所によって強さが違います。 ・盛土(盛り土)した部分 ・昔の川や池を埋めた跡地 ・地下水が抜けて空洞ができている場所 ・隣が大きな建物で重しがかかっている場所
こうした場所では、建物の重さが均等にかかっても、弱い部分だけがグッと沈みます。 結果、建物が「ねじれる」ように傾き、構造に深刻なダメージを与えるのです。
不同沈下の主な原因トップ5
- 地盤そのものの弱さ 関東ローム層の下に軟弱層がある地域、埋立地、旧河川敷などが典型例です。
- 地下水位の低下 近隣で大規模な工事や井戸掘りが増えると、地下水が抜けて地盤が沈みやすくなります。
- 盛土・切土の不適切な施工 傾斜地を平らにするために盛った土が、十分に締め固められていないケース。
- 地震による液状化 東日本大震災や熊本地震で多く見られたように、砂地盤が液体状になって急激に沈下。
- 隣地との高低差・重圧差 隣に3階建てが建つと、土が横に逃げて自分の家側が沈む「側方流動」も起こります。
不同沈下が起こると現れる「初期症状」チェックリスト
□ 床が斜めになっている(ビー玉を置くと転がる) □ ドアや窓が自然に開いたり閉まったりする □ 壁や天井に斜めのヒビ(45度方向が多い) □ 外壁のタイルやモルタルが波打つ □ 玄関ポーチやベランダが家本体から離れる □ 雨樋が外壁から浮いている □ 室内の家具が自然に移動する
これらのうち2つ以上当てはまる場合は、かなりの確率で不同沈下が進行中です。
不同沈下を防ぐために絶対にやるべき3つのこと
地盤調査は「スウェーデン式サウンディング試験+ボーリング調査」のダブルチェック ハウスメーカーや工務店が「SWS試験だけで十分」と言っても、信用しすぎないでください。 軟弱層が深い場所ではボーリング調査(柱状図)が必須です。
地盤改良はケチらない 代表的な工法と適した地盤 ・表層改良(2m程度まで)→ 比較的固い地盤 ・柱状改良(セメントミルク柱)→ 深さ10m前後まで ・鋼管杭 → 超軟弱地盤や液状化対策に最強
「うちは表層改良で大丈夫です」と言われたら、必ず第三者の地盤解析会社にセカンドオピニオンをもらいましょう。
ベタ基礎+基礎天端を高くする 布基礎よりもベタ基礎の方が沈下に強いのは事実です。 さらに基礎の高さ(GLから40~50cm以上)をとることで、多少の沈下でも床下浸水を防げます。
もう傾いてしまった…!不同沈下の修繕方法と費用相場
| 修繕方法 | 内容 | 費用相場(30坪程度) | 工期の目安 |
|---|---|---|---|
| アンダーピニング工法 | 基礎の下に新しい杭を打つ | 300~600万円 | 1~2ヶ月 |
| 薬液注入工法 | 地盤に薬液を注入して固める | 150~350万円 | 2~4週間 |
| 鋼製ジャッキアップ+樹脂注入 | 家をジャッキで持ち上げて樹脂で埋める | 400~800万円 | 1~3ヶ月 |
| 耐震耐傾スリム工法など | 最新の低侵襲工法 | 350~550万円 | 1ヶ月程度 |
※実際の費用は傾き角度(1/1000以上か?)、地盤の状態、業者によって大きく変わります。
実は保険で直せるケースもある!
・火災保険の「地震特約」に「地盤沈下担保特約」が付いていれば補償対象になることも ・地盤保証(10年~20年)の内容を必ず確認! → 多くの地盤保証会社は「1/500以上の傾き」で無償対応してくれます
最後に:不同沈下は「知っているかどうか」で運命が分かれる
「うちの地域は大丈夫だろう」と思っていたら、10年後に数百万円の修繕費…という話は本当に多いです。 家は一生に一度の買い物だからこそ、 ・地盤調査報告書は自分で読む ・地盤改良の必要性をセカンドオピニオンで確認する ・不同沈下保証の内容をしっかり把握する
この3つだけは絶対に手を抜かないでください。
あなたの家が、50年後、100年後もまっすぐに立っていられるように。 少しでも参考になりましたら幸いです!